セット麻雀のルールの決め方 — 揉めないための取り決めテンプレート
身内で麻雀を打つとき、揉めるのはルールを決めていないからではありません。決める順番を間違えているからです。
「一発ありで」「食いタンありね」までは全員がすらすら言えるのに、同時ロンが起きた瞬間に空気が止まる。 満貫をツモった人が「あれ、これいくら?」と固まる。この記事は、そこを事前に潰すためのチェックリストです。
書いているのは三人麻雀(サンマ)専用のオンライン対戦サイト jongbase で、実際に36項目のハウスルールを設定できる実装を持っています。「どこまで細かく決められるか」を毎日見ている立場から、どこを決めれば揉めないのかを実務的に並べます。
結論(先に答えを書く)
- 36項目を全部決める必要はありません。 実際に卓を止めるのは、そのうち5項目です。
- 揉める瞬間は「和了が発生した後」に集中します。 和了る前に議論になるルールはほとんどありません。だから事前に決めないと必ず手遅れになります。
- 決めた内容は口頭ではなく、文字で残してください。 この記事の末尾に、チャットにそのまま貼れるテンプレートを置きました。
- 決める役は1人に固定してください。 全員で合議すると決まりません。
なぜ「和了ってから」揉めるのか
ハウスルールには、発動するまで存在に気づかないという性質があります。
「切り上げ満貫あり/なし」は、4翻30符が出るまで誰の視界にも入りません。「頭ハネかダブロンか」は、同時ロンが起きるまで存在しないルールです。「責任払い(パオ)」に至っては、大三元を鳴かせた人が出るまで一生発動しません。
つまり、発動した瞬間には必ず利害関係者がいます。 点数が動く場面でルールを決めようとすると、どちらに決めても「損した側」が生まれる。これが後味の悪さの正体です。
逆に言えば、利害関係者がいない状態(=配牌前)で決めておけば、同じルールでも全員が納得します。 決める内容より、決めるタイミングのほうが効きます。
36項目を3層に分ける
すべてを同じ重さで扱うと、確認だけで10分溶けます。揉めやすさで3層に分けてください。
| 層 | 項目数 | 性質 | いつ決めるか |
|---|---|---|---|
| 層1 | 5 | 発動頻度が高く、点数に直結する | 必ず打つ前 |
| 層2 | 10 | 卓の性格を決める。後から変えると不公平になる | 打つ前が望ましい |
| 層3 | 21 | 発動しても「今回から入れよう」で済む | 後回しでいい |
層1: 必ず打つ前に決める5項目
この5つだけは、例外なく事前に確認してください。
| 項目 | 決めること | 決めていないと何が起きるか |
|---|---|---|
| ツモ損 | いない北家の分を上乗せするか | 満貫ツモの点数が変わる。三人麻雀で最大の分岐 |
| 北の扱い | 抜きドラか、字牌のままか、常に役牌か | 他家が北を抜いた瞬間に自分の一発が消えて紛糾する |
| 100点棒を使う | 7700点で払うか、1000点単位に丸めるか | 点棒が足りない/端数の扱いで毎回止まる |
| 頭ハネ | 同時ロンを上家だけにするか、両方認めるか | 同時ロンが起きてから議論すると必ず後味が悪くなる |
| 切り上げ満貫 | 4翻30符を8000点にするか7700点にするか | 「その手いくら?」が発生する。100点棒の話と必ずセットで決める |
補足: この5つが特に効く理由
ツモ損は三人麻雀にしかない項目で、四人麻雀から来た人ほど知りません。子の満貫ツモで受け取る点数が変わるので、黙って進むと「思ったより点が入らない」が積み上がります。成り立ちと差額はツモ損とは何かに、あり/なし両方の実数を並べた表は三人麻雀の点数表にあります。
北の扱いは、単なるドラの話に見えて、実は鳴き扱いにするかどうかの話です。jongbase では「抜きドラ」と「抜きドラ(空気)」を分けていて、後者は抜いても一発が消えず、九種九牌の条件も壊れません。ここを分けているサービスは多くありません。リーチ後の一発が他家の北抜きで消える仕様が気に入らない卓は、最初にここを決めてください。4種類それぞれで何が変わるかは北抜きとはに、抜いた北を国士無双にロンされる条件は抜いた北はロンできるのかにまとめています。
頭ハネは発動頻度が低いぶん、発動したときの影響が大きい項目です。「なし(=ダブロン可)」にした場合、jongbase では供託と本場は上家取りになります。この細かい部分まで含めて先に言語化しておくと事故りません。
100点棒を使うと切り上げ満貫はセットで決めてください。上の表の2行がそれです。両方式で同じ手の支払いがどう変わるかは100点棒を使わない三麻の点数に実例つきで書きました。
層2: 卓の性格を決める10項目
打つ前に決めておきたいが、層1ほど緊急ではない項目です。後から変えると、それまでの局と条件が変わってしまうので、できれば最初に。
| 項目 | よくある決め方 |
|---|---|
| 局数 | 東風戦(短い)/半荘戦(じっくり) |
| 開始時持ち点 | 25000/30000/35000/40000 |
| 返し点 | 開始点と同じならオカなし。差をつけるとオカが発生し、トップの取り分が増える |
| ウマ 1位/2位 | 設定画面では2行。3位は自動計算 |
| 赤5筒の枚数 | 0〜4枚 |
| 赤5索の枚数 | 0〜4枚 |
| トビ終了 | 0点未満で終局するか |
| 責任払い(パオ) | 大三元の3つ目を鳴かせた人が責任を負うか |
| 後付け | なしにすると完全先付け。役牌の後付けで和了れなくなる |
赤牌を筒子と索子で別々に指定できる点は、地味に効きます。「赤5索だけ2枚」のような卓のルールがそのまま入ります。
後付け(完全先付け)は、採用するなら絶対に事前宣言が必要な項目です。これを知らずに打つと、テンパイしているのに和了れない場面で理由が理解できません。採用するなら、初めての人には具体例を1つ見せてから始めてください。
層3: 後から足しても揉めない21項目
発動したときに「じゃあ今回から入れよう」で済む種類です。事前確認の時間を使う価値は低めです。
- 点数の細部: 立直供託/積み棒点数/九種九牌/加槓への槍槓/北の槍槓(国士)
- 進行: 持ち時間(オンラインで1手番を待つ長さ。既定30秒。長考する人がいる卓だけ延ばせば十分です)
- 場を派手にするもの: 割れ目/チップ(祝儀。一発・赤・裏の枚数を数えるだけの設定です)
- 役とドラ: 一発/裏ドラ/カンドラ/食いタン/数え役満/ダブル役満
- ローカル役7種: 人和/流し満貫/三連刻/四連刻/一色三順/大車輪・大竹林/大七星
ローカル役は「入れたい人が言い出したら入れる」で十分機能します。大車輪が出た瞬間に「これアリ?」と聞かれても、点数がまだ確定していないので利害が薄く、揉めにくいのです。層1との差はここにあります。
そのまま貼れる取り決めテンプレート
打つ前にチャットへ貼ってください。口頭で確認したことは30分後に忘れられます。文字で残っていれば議論が5秒で終わります。
【今日の卓のルール】
・局数 : 半荘戦
・持ち点/返し点 : 35000 / 40000(ウマ +15 / 0 / -15)
・北の扱い : 抜きドラ(抜くと一発は消える)
・ツモ損 : なし
・100点棒 : 使わない(1000点単位に丸め・4翻は満貫)
・切り上げ満貫 : あり
・頭ハネ : あり(ダブロンなし)
・赤牌 : 赤5筒 1枚 / 赤5索 1枚
・トビ終了 : あり
・責任払い : あり
・後付け : あり
・ローカル役 : なし(出たらその場で相談)
上の値は jongbase の既定値をほぼそのまま書いたものです。こだわりがない卓は、この状態から始めて、気になった項目だけ次回に変えるのが最短です。 最初から36項目を吟味しようとすると、たいてい打ち始める前に疲れます。
誰が・いつ決めるか
内容と同じくらい、運用が大事です。
- 決める人を1人に決める。 卓を立てる人(ホスト)がそのまま決めるのが自然です。合議は決まりません。
- 配牌前に、文字で共有する。 上のテンプレートを貼るだけ。
- 打ち始めたら変えない。 途中で変えると、それ以前の局と条件が食い違います。
- 次回は前回の取り決めをそのまま使う。 毎回ゼロから決め直す卓は、毎回揉めます。
jongbase はこの流れをそのまま実装しています。オンライン対局ではホストが対局開始前にルールを設定し、対局中は変更できません。設定は保存されるので、次回は「前回の設定を読み込む」で同じ取り決めを復元できます。「決める人を1人に固定して、決めたら動かして、次回に持ち越す」という運用が、そのままアプリの動きになっています。
よくある勘違い
「細かく決めるほど揉めない」 — 逆です。決める項目を増やすと、確認していない項目が生まれたときの落差が大きくなります。層1の5項目を確実に、が正解です。
「経験者が多い卓なら口頭で足りる」 — 経験者が多い卓ほど各自が別の店・別のサイトの常識を持ち込みます。 「うちの雀荘では」「雀魂では」で割れます。経験者が多い卓こそ文字にしてください。
「初心者がいるから簡単なルールにする」 — 項目を減らすより、100点棒を使わない設定にするほうが効きます。支払いが1000点単位に丸まるので、点数の確認で止まりません。ルールの数ではなく、計算の手間が初心者の負担です。
「アプリを使うとハウスルールが再現できない」 — サービスによります。たとえば雀魂の友人戦は三人麻雀で切り上げ満貫・頭ハネ・ウマ・オカを設定できません(確認日 2026年8月)。自分たちの取り決めを再現できるかどうかで選ぶのが正しい順序です。
まとめ
- 揉めるのは和了が発生した後。だから配牌前に決める。
- 必ず決めるのは5項目 — ツモ損/北の扱い/100点棒/頭ハネ/切り上げ満貫。
- 卓の性格を決める10項目は、できれば最初に。残り21項目は後回しでいい。
- 決める人を1人に固定し、文字で共有し、途中で変えない。次回に持ち越す。
jongbase なら、決めた取り決めをそのまま卓のルールにできます。三人麻雀(サンマ)専用で、36項目を対局ごとに設定でき、登録もインストールも不要。招待リンクを送るだけで3人の卓が立ちます。AI相手の練習モードでも同じ36項目が使えるので、「この取り決めだと満貫ツモが何点になるのか」を1人で確かめてから本番に持ち込むこともできます(AIは立直・鳴き・降りまでひととおり打ちます)。和了を待たずに点数だけ見たいときは点数計算機で、ツモ損と100点棒の設定を切り替えて支払いを比べられます。