抜いた北はロンできるのか — 三人麻雀の「北の槍槓」と国士無双
結論
抜いた北はロンできます。ただし条件はかなり狭く、国士無双を聴牌している家だけです。そして「北の槍槓」を採用している卓に限ります。
もうひとつ、混同されやすい別のルールがあります。加槓(ポンした牌に4枚目を足すカン)への槍槓です。こちらは国士無双でなくても、役があって当たり牌ならロンできます。
jongbase ではこの2つを別々の設定項目として持っています。
| 設定項目 | 対象 | ロンできる人 | 既定値 |
|---|---|---|---|
| 北の槍槓(国士) | 他家が抜こうとした北 | 国士無双を聴牌している家のみ | あり |
| 加槓への槍槓 | 他家が加槓しようとした牌 | 役があって当たり牌なら誰でも | あり |
そして、どちらもロンできたのに見逃すとフリテンになります。立直中に見逃した場合は、その局はもうロンできません。ここを知らずに「とりあえず見送り」を押すと、あとで泣きます。
そもそも槍槓とは
槍槓(チャンカン)は、他家がカンしようとした牌を横から奪ってロンする和了です。1翻の役になります。四人麻雀では加槓に対して発生するのが普通ですが、三人麻雀ではもうひとつ「抜いた北を奪う」形が生まれます。
北には北家がいないため、多くの三人麻雀では北を「抜きドラ」として場に晒します。この抜く行為をカンに準じたものとみなし、抜かれる瞬間の北をロンできるという取り決めがあります。国士無双は么九牌13種すべてを必要とし、その13種には北が含まれるからです。
⚠️ ただし「国士無双だけ」に限るかどうかはサービスごとに割れます。 雀荘のセット麻雀では国士限定の取り決めを聞きますが、天鳳は役満以外でもロンできます(マニュアルに明記)。オンラインで何が設定できるかを並べたオンラインでセット麻雀をする方法を全部比較したも参照してください。jongbase が国士限定を採っているのは本サイトの選択で、標準というわけではありません。
つまり北の槍槓は、三人麻雀にしか存在しない「北抜きの唯一のリスク」です。北をどこから何枚抜けるのか、抜くと何がドラになるのかといった北抜きそのものの仕組みは、北抜きとは — どこから抜く?何がドラになる?で先に押さえておくと読みやすいはずです。
北の槍槓が成立する条件
jongbase の実装では、誰かが北を抜こうとするたびに「この北をロンできる家」を列挙します。そこを通過する条件は次の5つで、ひとつでも欠けると槍槓は発生しません。
- 北の扱いが「抜きドラ」または「抜きドラ(空気)」であること(通常の字牌・常に役牌の卓には北抜きそのものが無い)
- 「北の槍槓(国士)」の設定がオンであること
- 北を抜こうとしている本人以外の席であること
- その北を加えた手が国士無双として和了形になること(七対子や通常形でテンパイしていても不可)
- フリテンでないこと
4番が肝です。実装は「その席の最高の和了形が国士無双かどうか」を見ており、国士以外の形は候補から外されます。たとえば北単騎の対々和でテンパイしていても、抜き北はロンできません。
なお国士無双側の待ちの形は問いません。12種+対子で北単騎になっている形でも、13種すべてが1枚ずつ揃った十三面待ちでも、どちらでも抜き北をロンできます。
槍槓が成立すると「北抜きはなかったこと」になる
ここが実装上いちばん丁寧に作ってあるところです。jongbase は北抜きや加槓を先に成立させてから巻き戻すのではなく、成立させる前に他家の応答を挟みます。そのため槍槓が決まったとき、宣言側には何も起きていません。
| 槍槓が成立したとき | 北の槍槓 | 加槓への槍槓 |
|---|---|---|
| 宣言した牌 | 手牌に残ったまま(抜けない) | 手牌に残ったまま(ポンは槓子にならない) |
| 抜きドラの枚数 | 増えない | — |
| 嶺上牌の補充 | 引かない | 引かない |
| 新しいドラ(カンドラ) | — | めくられない |
| 放銃者 | 北を抜こうとした本人 | 加槓しようとした本人 |
「カンが成立していないので嶺上牌もカンドラも無い」という扱いです。加槓を槍槓されると槓子が増えないので、三槓子・四槓子も進みません。
点数は国士無双=役満なので、子で32000点、親で48000点です(既定の点数設定)。抜き北をロンした場合、槍槓の1翻は役満の点数には影響しません。一方、十三面待ちで抜き北をロンした場合はダブル役満の設定が効いて、子64000点・親96000点になります。三人麻雀で最も派手な終わり方のひとつです。
加槓への槍槓では、加槓に使われた牌がそのまま和了牌になります。その4枚目が赤5だった場合、赤ドラも和了者の手に入ります。
なぜ国士無双だけが北を奪えるのか
抜き北は本来カンではありません。カンでもない行為をロンできる、という例外を認める理屈はひとつだけです。国士無双は北を必ず必要とする唯一の役だからです。
么九牌13種を1枚ずつ集める国士無双は、北が1枚も手に入らない限り完成しません。ところが三人麻雀では、北は場に出る前に全員が抜いてしまいます。抜きドラの卓で国士無双の北待ちは、放銃を待つより先に4枚全部が抜かれて終わる、という構造的な不利を背負っています。北の槍槓は、そこに救済を与える取り決めです。
逆に言えば、この理屈が当てはまらない手(対々和の北単騎、七対子の北待ちなど)には権利がありません。jongbase の実装も、その席の和了形が国士無双かどうかで機械的に線を引いています。
具体例:実際の点数
既定設定(北の槍槓あり・ダブル役満あり・早見表方式)での実数値です。
例1: 北単騎の国士無双で抜き北をロン
手牌13枚が「1萬 9萬 1筒 9筒 1索 9索 東 東 南 西 白 發 中」。北だけが足りない単騎待ちです。ここで下家が北を抜こうとしたので槍槓ロン。
| 内訳 | 値 |
|---|---|
| 国士無双 | 役満 |
| 子のロン | 32000点 |
| 親のロン | 48000点 |
例2: 十三面待ちで抜き北をロン
手牌13枚が「1萬 9萬 1筒 9筒 1索 9索 東 南 西 北 白 發 中」=13種すべて1枚ずつ。この北をロンすると北が対子になるので十三面待ちとして成立します。
| 内訳 | 値 |
|---|---|
| 国士無双十三面(ダブル役満) | 役満2つ分 |
| 子のロン | 64000点 |
| 親のロン | 96000点 |
例3: 加槓への槍槓(こちらは国士でなくてよい)
立直・平和で5筒待ち。他家がポンしていた5筒に4枚目を足して加槓しようとしたところをロン。しかもその4枚目が赤5筒でした。
| 内訳 | 翻 |
|---|---|
| 立直 | 1 |
| 平和 | 1 |
| 槍槓 | 1 |
| 赤ドラ(加槓に使われた赤5筒) | 1 |
| 合計 | 4翻 |
既定の早見表方式では4翻が無条件で満貫なので、子のロンで8000点です。裏ドラが乗ればさらに上がります。加槓に使われた牌がそのまま和了牌になるので、赤5が和了者の手に入るのがこの形の面白いところです。
見逃すとフリテンになる
槍槓を「見送る」選択もできます。ただし代償があります。
jongbase では、北抜きや加槓が成立する直前に「ロンできたのに見逃した家」を記録し、その席にフリテンを付けます。挙動は打牌を見逃したときと同じです。
| 状態 | 効果 | 解除 |
|---|---|---|
| 同巡内フリテン | 次に自分がツモるまでロンできない(ツモ和了は可) | 自分のツモ番 |
| 立直中の見逃し | その局はもうロンできない(ツモ和了のみ) | その局は解除されない |
つまり立直している国士無双で抜き北を見送ると、その局は以降ツモ以外に和了手段が無くなります。
ひとつ救いがあります。このフリテンが付くのは、実際にロンできた家だけです。北の槍槓をオフにしている卓や、国士以外の形で北を待っている家には、そもそも権利が無いので何も起きません。打牌の見逃し判定(待ち牌が一致したら付く)よりも範囲が狭くなっています。
加槓への槍槓は「国士限定」ではない
北の槍槓と違い、加槓への槍槓は役の制限がありません。平和でも役牌でも、加槓された牌が当たり牌でフリテンでなければロンできます。槍槓の1翻も付きます。
実装では、次の条件が揃ったときだけ応答の窓が開きます。
- 加槓しようとしている牌のポンが実際にある
- 4枚目が手牌にある
- 嶺上牌の予算が残っている(カンは1局で全員合わせて4回まで)
要するに「その加槓が本当に通る状況」でなければ、槍槓の窓は開きません。加槓が失敗する状況で先にロンだけ受け付ける、という矛盾を避けています。
暗槓と大明槓には槍槓できません。「国士無双は暗槓でも槍槓できる」というローカルルールは jongbase では採用していません。
また、2人が同時に槍槓できる場合は、設定でダブロンを許可していても槍槓は頭ハネ固定です。宣言した人から見て近い席(下家側)が優先されます。
jongbase での設定
ルール設定の「点数・精算」に2つ並んでいます。詳細設定を開くと出てきます。
| 項目名 | 既定 | オフにすると |
|---|---|---|
| 加槓への槍槓 | あり | 加槓はロンされずそのまま成立。嶺上ツモ・カンドラも通常どおり。見逃しフリテンも起きない |
| 北の槍槓(国士) | あり | 抜き北は絶対に安全になる。国士無双は北を自分で引くか、他家の打牌を待つしかない |
北の扱いを「通常の字牌」「常に役牌」にした卓では北抜き自体が無いので、「北の槍槓」の設定は効きません。この2つを含め、対局前に決められる項目は全部で36あります。何がどう変わるかを一覧にしたものが麻雀のローカルルール一覧です。
対局中は、誰かが北を抜こうとした瞬間に盤面へ「槍槓」の表示と対象牌が出て、ロンできる席にだけロンボタンと見送りボタンが出ます。オンライン対戦でも対AIモードでも同じ判定を通しているので、片方だけ挙動が違うということはありません。
よくある勘違い
- 「北抜きはノーリスク」 — 国士無双を狙っている家がいれば放銃になります。既定でオンです。
- 「国士以外でも抜き北をロンできる」 — できません。国士無双限定です。
- 「暗槓もロンされる」 — されません。槍槓の対象は加槓のみです。
- 「槍槓されてもカンドラはめくれる」 — めくれません。カンが成立していないためです。
- 「見送っても損はない」 — フリテンが付きます。立直中ならその局はロン不可です。
- 「加槓の槍槓は国士だけの特権」 — 加槓への槍槓は役があれば誰でも可能です。混同されがちですが別のルールです。
まとめ
三人麻雀の抜き北は、それ自体は1翻の加点です。ただし「北の槍槓」を採用している卓では、国士無双に限って抜き北がロンされます。放銃の経路がそこだけ開いている、という取り決めです。
そして槍槓は「見逃すとフリテン」というルールとセットです。立直中に見逃した場合、その局はツモ以外に和了手段が残りません。
北の槍槓・加槓への槍槓のどちらも、卓ごとに採否を切り替えられます。実際に動かして確かめるのがいちばん早いので、よければ試してみてください。