大車輪・大竹林とは — 成立条件と点数、採用するかしないか
結論
大車輪(ダイシャリン)は、筒子の2〜8を2枚ずつそろえた七対子です。 索子で同じ形を作ると大竹林(ダイチクリン)と呼ばれます。どちらもローカル役で、採用すれば役満です。
2筒2筒 3筒3筒 4筒4筒 5筒5筒 6筒6筒 7筒7筒 8筒8筒 ← 大車輪
2索2索 3索3索 4索4索 5索5索 6索6索 7索7索 8索8索 ← 大竹林
そして三人麻雀に限った話をすると、成立し得るのはこの2種類だけです。萬子版も名前だけは存在しますが、三人麻雀の牌構成では永久に成立しません。理由は後述します。
採用しない場合でもこの形は三倍満(子ロン24,000点)になるので、「役満にするかどうか」は 24,000点と32,000点の差をどう見るかという話になります。この2つの受け取りは点数計算機で並べて確かめられます(三倍満は11翻、役満は役満の欄で選びます)。
成立条件
jongbase の判定は次の3つを全部満たすかどうかだけを見ています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 七対子の形 | 同じ牌2枚ずつ×7組。同じ牌4枚を2組と数えることは認めません(2枚ちょうどのみ) |
| 2. すべて同じ色 | 筒子だけ、または索子だけ。字牌が1枚でも入れば不成立 |
| 3. ランクが2〜8ちょうど | 2・3・4・5・6・7・8の7種類が過不足なくそろっていること |
条件3は「7種類が連続していればいい」ではなく、2から8ちょうどである点が重要です。1〜7や3〜9では成立しません。
条件1から、大車輪は完全に門前の役になります。七対子はポンもチーもできませんし、jongbase では暗槓すると七対子としての形が崩れるので、カンも一切できません。7種類を2枚ずつ、14枚すべてを手の中だけでそろえ切る必要があります。
待ちは必ず単騎待ちになります。聴牌形は「6種類が2枚ずつ+1種類が1枚」なので、最後の1枚を単騎で待つ形にしかなりません(残り3枚)。
三人麻雀では2種類しか成立しない
麻雀の解説では「萬子版もある」と書かれていることがあります。jongbase の判定コードにも、萬子の2〜8の七対子には大数隣(ダイスウリン)という名前が割り当てられています。
ところが三人麻雀では、この分岐に一生到達しません。三人麻雀の牌構成がこうなっているからです。
| 種類 | 内訳 | 枚数 |
|---|---|---|
| 萬子 | 1萬と9萬だけ(各4枚) | 8 |
| 筒子 | 1〜9(各4枚) | 36 |
| 索子 | 1〜9(各4枚) | 36 |
| 字牌 | 7種(各4枚) | 28 |
| 合計 | 108 |
萬子の2〜8は牌そのものが卓に存在しません。 2萬を1枚も引けない以上、萬子の2〜8で七対子を作ることは不可能です。三人麻雀で成立し得るのは大車輪(筒子)と大竹林(索子)の2つだけ、という構造的な結論になります。
牌の構成も見ておきます。山108枚のうち筒子が36枚、索子が36枚で、卓にある牌の3分の2が筒子か索子になります。四人麻雀では筒子は136枚中36枚(26.5%)ですが、三人麻雀では108枚中36枚(33.3%)です。同じ枚数を引くあいだに手元へ来る筒子が明確に増えます。萬子の中張牌を引いて腐らせることがないぶん、清一色系の手全体は作りやすくなっています。ただし大車輪そのものの成立頻度は別の話で、門前限定・カン不可・単騎待ちという条件が重いため、後述のとおりほとんど上がりません。
点数 — 採用と不採用で何点変わるか
ここが判断の材料になります。同じ手牌(筒子の2〜8を2枚ずつ、和了牌は8筒)を、設定だけ変えて計算させた実測値です。役満や三倍満が実際いくらになるかの一覧は三人麻雀の点数表にあります(三人麻雀はツモの支払いが四人麻雀と違うので、ツモ損あり/なしの両方を並べてあります)。
採用した場合(役満)
| 和了 | 内訳 | 合計 |
|---|---|---|
| 子のロン | 放銃者から32,000 | 32,000 |
| 子のツモ | 親20,000+子12,000 | 32,000 |
| 親のロン | 放銃者から48,000 | 48,000 |
| 親のツモ | 子24,000×2 | 48,000 |
ツモの内訳が四人麻雀と違うのは、三人麻雀の既定がツモ損なし(いない北家の分を親と子で分けて上乗せする)だからです。
採用しなかった場合
役満扱いをやめても、この形は高い手のままです。同じ手を子のロンで計算させると、こうなりました。
| 内訳 | 翻 |
|---|---|
| 断么九 | 1 |
| 平和 | 1 |
| 二盃口 | 3 |
| 清一色 | 6 |
| 合計 | 11翻=三倍満 24,000点 |
2〜8だけの手なので断么九が付き、同じ順子が2組ずつ取れるので二盃口になり、当然清一色です。役の相性が良すぎて、放っておいても三倍満になります。
| 設定 | 子のロン | 差 |
|---|---|---|
| 大車輪・大竹林 なし(既定) | 24,000 | — |
| 大車輪・大竹林 あり | 32,000 | +8,000 |
さらに面白いのは、ドラが3枚乗ると採用してもしなくても同額になることです。抜き北3枚を足して計算させたところ、こうなりました。
| 抜き北(ドラ) | 翻 | 子のロン |
|---|---|---|
| 0枚 | 11 | 24,000(三倍満) |
| 1枚 | 12 | 24,000(三倍満) |
| 3枚 | 14 | 32,000(数え役満) |
jongbase の既定は早見表方式なので、数え役満は14翻からです。11翻の素地にドラが3枚乗れば、大車輪を採用していなくても数え役満に届いて32,000点になります。「役満にするかどうか」の実質的な差は、ドラが2枚以下のときの8,000点だけだと言えます。
惜しい形
条件3を外すと点数がどうなるかも確認しました。
| 手牌 | 判定 | 子のロン |
|---|---|---|
| 2〜8の筒子七対子 | 大車輪 | 32,000 |
| 1〜7の筒子七対子 | 七対子+清一色(8翻) | 16,000 |
| 3〜9の筒子七対子 | 七対子+清一色(8翻) | 16,000 |
1〜7も3〜9も、么九牌(1筒または9筒)が混じるので断么九が消えます。順子への組み替えは可能で(11p + 234p + 234p + 567p + 567p)、平和+二盃口+清一色の10翻にはなりますが、断么九の1翻が落ちたぶん11翻に届かず倍満止まりです。七対子+清一色の8翻も同じ倍満16,000点なので、どちらの読み方でも点数は変わりません。2〜8ちょうどでなければ半分、と覚えておけば十分です。
ダブル役満にはならない
jongbase でダブル役満の対象になるのは、四暗刻単騎・国士無双十三面待ち・純正九蓮宝燈・大四喜(採用時の大七星も)です。大車輪・大竹林はダブル役満設定の対象外で、常に役満1つ分として扱われます。実際に「ダブル役満あり」で計算させても子ロン32,000点のままでした。
また、役満が成立した時点で通常役は計算されないので、清一色や断么九、立直・一発は点数に加算されません。立直・一発を付けて計算させても32,000点で変わりませんでした。役満は固定点なので当然ではあるのですが、「立直をかけておけば裏ドラで上乗せできる」と思っていると期待外れになります。
採用するかしないか
判断材料を整理します。
採用に向く卓
- 役満を「出たら盛り上がるイベント」と捉えていて、頻度より驚きを重視する
- 清一色を狙う打ち方が好きな人がいる(大車輪は清一色の派生形として自然に見えます)
- 三人麻雀は打点が高いので、三倍満と役満の差をそこまで重く見ない
採用に向かない卓
- 競技寄りの成績で比較したい
- 「役満の格」を大事にしたい(大車輪は他の役満と比べて運の比重が大きい)
- 局あたりの分散をこれ以上上げたくない
個人的な意見を書くと、採用しても実害が小さいローカル役です。理由は上で書いたとおり、採用しなくてもこの形は三倍満になるからです。「大車輪ができたのに三倍満だった」という残念さのほうが、卓の後味としては悪い気がします。
逆に、採用しても成立頻度はほとんど上がりません。門前限定・カン不可・単騎待ちという条件が重く、狙って行ける形ではないからです。「入れておいても年に数回あるかどうか」の設定だと考えて差し支えありません。
jongbase での設定
対局設定の「ローカル役」に 「大車輪・大竹林」(説明: 2〜8同色の七対子 役満)という項目があります。既定は なし です。
同じ枠にある七対子系のローカル役として 「大七星」(字牌7種すべての七対子=ダブル役満)もあり、こちらも既定は なしです。大七星を採用すると、その形は字一色ではなく大七星として扱われます。
ローカル役の枠は全部で7項目(人和・流し満貫・三連刻・四連刻・一色三順・大車輪/大竹林・大七星)で、既定で採用しているのは人和と流し満貫だけです。ハウスルールは全部で36項目あり、対局ごとに保存・読み込みができます。同じ枠の三連刻・四連刻・一色三順は採用すると打点が跳ねる系統で、性格がかなり違います。36項目の全体像は麻雀のローカルルール一覧にあります。
よくある勘違い
「1〜7でも成立する」 — しません。2〜8ちょうどです。
「萬子でも作れる」 — 三人麻雀では作れません。2萬〜8萬が卓に存在しないためです。
「カンしても大丈夫」 — 大丈夫ではありません。七対子の形が崩れるので、暗槓した時点で大車輪は消えます。
「大車輪はダブル役満」 — 流派によってはダブル役満とする解説もありますが、jongbase では役満1つ分です。
「役満だから立直をかけておけばもっと高い」 — 役満は固定点です。立直・一発・裏ドラは点数に影響しません。
「大車輪と二盃口・清一色が複合して高くなる」 — 複合しません。役満として計算された時点で通常役は無視されます。採用しないほうが「複合して11翻」になるという、少し不思議な関係です。
まとめ
- 大車輪=筒子の2〜8の七対子、大竹林=索子の同じ形。どちらも採用時は役満(子32,000/親48,000)。
- 三人麻雀では萬子の2〜8が存在しないので、成立し得るのはこの2種類だけ。
- 採用しなくても、この形は断么九+平和+二盃口+清一色で11翻=三倍満24,000点。差は8,000点。
- ドラが3枚乗れば、採用しなくても数え役満(14翻)で32,000点に届きます。
- 門前限定・カン不可・単騎待ち。採用しても頻度はほとんど変わりません。
jongbase では大車輪・大竹林の採否を対局ごとに切り替えられます。AI相手のローカル対戦でも同じ設定が使えるので、「入れたらどのくらい変わるのか」を実際に打って確かめてから卓の取り決めにできます。